SP警護と強気な華【完】
帰り道、カトレアはずっと考えていた。
誕生日の夜に助けてくれた柊という男の事や
祖父が残したという遺産の存在を。
もしそれが事実だとしたら
その在りかがどこなのか。
どうして祖父は相続相手の自分に何も言わなかったのか
それとも…
(この家のどこかに
何かヒントがあるのかな…)
1人で住む屋敷に到着し
中に入るなり、ぐるりと室内を見渡した。
しかし20年育って隅々まで知り尽くしている家。
見慣れた景色に変わりはなく
違和感も感じない。
そんな簡単に見つかるはずがない。
「まぁ…いっか」
嘘か誠か定かじゃない話を鵜呑みにして
悩んでいても仕方ないと思ったカトレアは
入浴を済ませ早めにベッドへと入った。
20歳のバースデーを迎えた日から
とんでもない事に巻き込まれているとも知らずに―――