LOVE and DAYS…瞬きのように
センター問い合わせ。
未読メール6件。
その中の一通は予想通り、例の女友達からだ。
【リコ~! 昨日はなんで何も言わずに帰っちゃったの? タカシも心配してたよ?
てかあの後さ、変な茶髪の店員にからまれて大変だったんだから。
『恋愛にうつつ抜かす前に、人の気持ち考えられる人間になれば?』だって。
意味わかんなくね?】
意味わかんねーのはお前だ
ちくしょー。
アドレスからこの性悪女と、そしてタカシのデータを削除した。
不思議と悲しくはなかった。
胸を占めていたのは、別のことだったから。
あたしはジャケットが入った紙袋を、胸の前でぎゅっと抱きしめる。
ほのかに漂う香水のかおり。
目をつむると、キャラメル色の光がまぶたに浮かんだ。
……変なやつ。
偉そうで、失礼なやつかと思えば、優しくて。
他人のためにトラブル起こして、クビになんかなっちゃって。
15歳のあたしが出逢った、気妙な男。
彼についてわかったのは
“月島健吾”という名前だけ――…。