LOVE and DAYS…瞬きのように
重たい頭を動かしてふりむくと、アキさんが立っていた。
「こんな所にいたんだ」
「へっ……、はい」
なぜアキさんがここに来るのかわからず、目をパチクリさせていると
彼はクイッと顎を上げて言った。
「回らねーの?」
広い音楽室の、入口と窓際で見合ったまま、しばらく沈黙が流れた。
アキさんはいつものクールな表情で、何を考えているのかさっぱりわからない。
「あ……えっと、なんだかあんまり学祭って気分じゃないんです」
「ふーん、そう」
存外あっさり納得すると、アキさんは踵を返した。
そして、去り際にぽつりと一言。
「ついでに言っとくけど、ここ、オバケ出るよ」
「えぇっ!?」
あたしは飛び上がって叫んだ。
「やだっ! お願い、待ってアキさんっ!」
転がるように音楽室を飛び出すあたしを、アキさんは珍動物でも見るような目で見下ろしていた。