LOVE and DAYS…瞬きのように
廊下に立ち止まってしまったあたしを、アキさんは静かな目で見つめる。
「すみません。……大丈夫です」
そう言って無理やり笑顔を作ろうとしたときだった。
立ち尽くすあたしの横を、数人の生徒が騒がしい声をあげながら、走り抜けていった。
「ケンカだって! 渡り廊下の下!」
まじで? と野次馬の声があがり、周りの生徒たちもバタバタと走り出す。
他人のケンカなんか興味ないあたしは、特に気にしていなかった。
だけど次に聞こえてきた言葉で、無視ができなくなった。
「うちの3年の男子らしいよ!」
「――…」
ふっと胸をかすめた不安が、みるみる膨れ上がっていく。
心配しすぎだ、自分にそう言い聞かせるけれど
不安はすでに体中に広がり、いてもたってもいられなくなった。
あたしはアキさんに頭を下げ、
そして全力で走りだした。