LOVE and DAYS…瞬きのように
他の誰が止めても、ちっとも聞かなかったのに。
たった一言、健吾が放っただけなのに。
「すごい……」
と、ぼそっと洩らす真由ちゃん。
あたしもそう思う。
健吾はやっぱりすごい。
そして、なんだかすごく遠い……。
「さっすがケンケン、やるじゃん!」
シンさんが両手の人差し指で、健吾をグリグリと押しながら笑う。
そして再び手すりから身を乗り出すと、騒ぎを起こしていた人たちに言った。
「まあまあ、平和にいこうや。せっかくの学祭なんだからさ~。
あ、でもお前らのおかげで人が集まったから、手間が省けたかもな。サンキュー」
手間が省けた?
どういう意味だろう。
シンさんはキョロキョロと、あたりを埋め尽くすギャラリーに視線をめぐらせ
「見つけた! K女子高の青木ナミちゃん!」
と叫んだ。
その方向にみんなの視線がいっせいに向く。
そこにいたのは、ミツルが片想いをしている女の子だった。