LOVE and DAYS…瞬きのように
……どうして、シンさんが彼女を誘ってるの?
ていうかこの状況、いったい何?
いきなり注目を一身に浴びた彼女は、不安を隠せない様子で、隣の友達の手を握って怯えている。
「俺、シンっていうんだけどさー。この後、俺と一緒に回ってくれないかな」
「――いや、俺とだよ!」
シンさんに被せるように、もうひとつの声が響いた。
聞き覚えのあるその声に、真由ちゃんはぴくっと表情を震わせて
「ミツル……?」
と、弱々しい声でつぶやく。
声のした方を見ると、人の間を縫って進むミツルの姿。
やっと彼女の正面にたどり着いたときには、ピアスの並んだ耳たぶが見るからに赤く染まっていた。
「あのっ、青木さん。俺と一緒に回って下さい!」
ミツルがふりしぼるように叫んだ瞬間、あたしの視界のすみで、真由ちゃんの横顔がこわばった。
「……ナミちゃん、どうする?」
シンさんがたずねる。
周囲は水を打ったように静まり返り、彼女の返事を待ち構えていた。