LOVE and DAYS…瞬きのように
「お前らいいかげんにしろ!」
校庭に飛び出した先生を嘲笑うかのように、バイクは旋回し校門の方へと走り出す。
その中で一台だけ、逆方向に進むバイクがあった。
それはあたしたち新入生がいる校舎へと向かってきた。
歓声と嬌声が、廊下にこだまする。
そんな反応も当たり前というかのように、勝ち誇った表情で男は片手をあげ、ギャラリーをさらに煽る。
自信に満ちた瞳。
誰もが、飲み込まれてしまう。
「ツキシマ先輩っ」
女子の黄色い声が高らかに響いた。
繰り返されるその名前が、あたしの記憶を確信に変えた。
間違いない、あのときの、彼だ。
ツキシマ。
ツキシマ。
月島――
「健吾……ッ」
「―――…」
バイクが視界をすり抜けていくその瞬間。
目が、合った気がした。
だけどそれは、
まばたきほどの一瞬で。
自分が叫んだことを自覚した時にはもう、彼の乗ったバイクは、校門の方へと消えていった。