LOVE and DAYS…瞬きのように

「人んちの前で騒いでんじゃねぇよ、お前ら」


人差し指でキーを回しながら、すたすたとマンションに入っていく健吾。

あたしたちもその後に続いて、薄暗い階段を上った。
 


2階の一番奥が、健吾のおうちだ。

以前にも一度だけ来たことがある部屋。


だけどあのときは昼間だったから、今日は少し雰囲気が違った。
 

……玄関を開けて目に飛び込んだのは、まっ黒のペンキで塗りつぶしたような深い闇。


一瞬、誰もいない自分の家を思い出して足がすくんだけれど

健吾は慣れた様子で電気のスイッチを入れた。


パチパチ、と電球が数回またたき、点灯する。
 

明るくなった家の中は、こないだ来たときと変わりはなかった。

テーブルに積まれたカップラーメン、台所の奥に続くふたつの部屋。

あいかわらず殺風景。


「おじゃましまーす」
 

テレビやDVDのある洋室の方に入り、アキとシンさんが買ってきてくれたコンビニの袋を開ける。


お菓子の他に、タバコや缶ビールも入っていて、いったいどうやって未成年が買ったのだろうと首をひねりたくなる。


ウーロン茶を飲んでいるアキが、なんだか真面目な人に見えちゃうから不思議だ。

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