LOVE and DAYS…瞬きのように

「すぐに飲まない分のお酒は、冷やした方がいいよね?
健吾、冷蔵庫使ってもいい?」

「ああ、悪ぃな。頼む」
 

あたしはビールが入った袋を持って、台所に行った。

自分の背より大きな冷蔵庫を開けると、みごとに何も入っていなかった。
 

男の子のひとり暮らしって、こんなものなんだろうか。

でも、まだ高校生なのにどうして……。
 

腑に落ちない気分でビールを冷蔵庫に並べていると、スッと後ろから手が伸びて、その中の一本をつかんだ。


「シンさん!」
 

びっくりしたぁ~。
いきなり背後から現れるんだもん。


「なんかさぁ、こうしてると莉子ちゃん、新妻みたいに見えるな」

「な、何言ってるんですか」
 

まんまと過剰反応するあたしに、シンさんは楽しそうに笑う。

そして、手にしたビールをあたしに差し出した。


「莉子ちゃんも飲めば?」

「いや、あたしは……」

「旦那の見てないうちに、ほら」


だっ、旦那って。健吾のこと言ってるんだよね? 

ほんと、シンさんは軽いんだから……。


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