LOVE and DAYS…瞬きのように
露草涙
夏休み最後の日。
陽が落ちて薄闇に染まりかけた街で、偶然アキの姿を見かけた。
「アキ!」
かけ寄って声をかけると、あたしに気づいた彼は「おぉ」という顔をした。
とは言っても、ほとんど表情は動かさずクールなままだけど。
「アキ、こんなとこで何してたの?」
「ちょっと用事。あんたは?」
「お母さんが忘れ物したって言うから、勤務先まで届けてあげたの。ほら、あそこの病院で働いてるんだ」
ふーん、と無関心な返事をしたあと、アキはこう続けた。
「てっきり健吾に会いにいく途中かと思った」
「えっ、違うよ!
てか、健吾のバイトが終わるまで3時間くらいあるし、今日は遊ぶ約束してないし」
「そう」
「うん……」
と、うなずいてはみたものの。
あたしの胸はすでにウズウズし始めていた。
忘れ物を届けたら帰るつもりだったのに、アキがあんなこと言うから
健吾に会いたくなっちゃったじゃん。