LOVE and DAYS…瞬きのように
ふり返る間もなく目の前に大きな影が現れ、数人の男に囲まれた。
悲鳴をあげようしたけど、恐怖があたしから声を奪い、かすれた声すら出なかった。
「おとなしくしろって」
あたしの前に立ちはだかった男が、嫌な声で言う。
あいつだ、
一週間前に見た、あの4人組のひとりだ。
そう気付いたときにはもう、あたしはパニックの渦に飲まれていた。
わずかなすき間から逃げようとしたあたしの服を誰かがつかみ、その拍子に地面にひざを打ちつける。
這いつくばるあたしを立たせようと、伸びてくる無数の手。
嫌だ、やめて、やめて!
と祈りながら必死に抵抗するけれど、あっさりと腕を捕まれてしまう。
グイッと体を引き上げられ、もうダメだと思った瞬間
急に男の手が離れた。
よろめいた男の背後に、アキがいた。
「何だ、お前?」
全員の視線がアキに集中する。
ジャマすんな、とひとりの男が怒鳴り、拳を振り上げた。
それはアキの左頬をかすめ、瞬間、アキの表情がゆがんだ。
きゃっ、と小さく悲鳴を上げるあたし。
恐ろしい光景に体が凍りついていく。
けれどアキはひるまず、目の前にいた男を突き飛ばし、あたしの手をがっしりと握った。