LOVE and DAYS…瞬きのように

玄関を開けると、健吾は黙ったまま洗面所に行って顔を洗い始めた。

あたしは所在なく台所の真ん中で立ち尽くし、健吾が戻ってくるのを待った。
 

床にはあたし用のルームシューズが転がっている。

冷え性のあたしのために健吾が買ってくれたもの。

あたし用のクッションや、携帯の充電器もある。
 


あたしの居場所……

健吾のそばだけがあたしの居場所なんだ。


健吾がいなきゃあたしは絶対に耐えられない。
 

もう今日みたいに怒らせるようなことはしないから

ずっと一緒にいたいよ……。
 


足音がしてふり返ると、白いタオルを持った健吾が洗面所から出てきたところだった。


「さっぱりした?」
 

努めて明るい声で尋ねると、健吾はテーブルの上にタオルを置きながら「あぁ」とつぶやいた。

濡れた前髪を後ろに流した彼は、いつもよりずっと大人びて見える。

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