LOVE and DAYS…瞬きのように

やっぱり、もう一度健吾と話がしたいよ。

別れの理由があの男たちだとしても、ちゃんと詳しく説明してもらいたい。
 

そんな思いは、廊下で健吾に会ったことで抑えきれなくなった。


「一緒に行ってやろうか?」
 

放課後、健吾のもとに行こうとしたあたしにアキはそう言った。


「ううん、ひとりで大丈夫。……ありがとう」
 

と答えると、アキは心配なんか微塵もしていないような涼しい顔で「そう」と言った。
 

昨夜、泣き続けるあたしのそばでずっと、何も言わずにいてくれたアキ。

これ以上心配をかけちゃいけない。
 


あたしは鎖骨まで伸びた髪をキュッとひとつに結び、駄菓子屋さんに向かった。


きっと健吾は、一週間前の騒ぎでお店に迷惑をかけたことを、謝りに行っているだろうから。
 


お店に到着すると、おばあさんは奥の個室に目配せして「来てるよ」という顔をした。
 

健吾……やっぱりここだったんだ。


あたしは深呼吸をして、そっと個室のドアノブに手をかける。


「――本気で別れるつもりなのかよ」
 

扉の向こうからシンさんの声が聞こえ、思わず手を離した。


< 243 / 580 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop