LOVE and DAYS…瞬きのように
バイクのエンジンを切ったとき、かすかに低い音が聞こえた。
「お前の携帯じゃね?」
健吾に言われて鞄の中を見ると、たしかに携帯が震えている。
真由ちゃんかな、と思いながらあたしは携帯を取り出した。
「あ……」
「どうした?」
「お母さんからだ」
何の用だろう。
最近は家でもまともに会話していなかったのに、急に電話なんて。
あたしはシートに座ったまま、電話に出た。
「もしもし? お母さ――」
「莉子!? 今どこにいるのっ!?」
厳しく責めたてる声に、鼓膜がじぃんと痺れた。
「な、何……?」
「授業をさぼってどこにいるのか聞いてるのよ、答えなさい!」
こんなお母さんの声、今まで聞いたこともない。
あたしは困惑しながらも、何か恐ろしいことが起こっているのはわかった。