LOVE and DAYS…瞬きのように
しばらく言葉がなかった。
あたしもお母さんも、時が止まったように固まっていた。
秋色に染められた、中庭の美しい植物たち。
絵画のようにたたずむその景色の中
先に動いたのはお母さんだった。
「莉子……っ!」
ヒステリックな声が響く。
けたたましいヒールの足音。
お母さんの姿が、どんどん近くなる。
血走ったお母さんの目は、あたしではなく健吾を映していた。
あたしたちを引き離そうとするように、一心不乱に走ってくる、恐ろしい姿。
健吾の学ランをつかむあたしの手に、力がこもる。
――『やべぇな、俺。お前のこと、相当好きみたいだ』
やっと小さな幸せを手に入れたのに。
――『健吾には、あたしがいるからね』
もう離れないって約束したのに。
嫌だ……嫌だ。
もう、邪魔しないで……!