LOVE and DAYS…瞬きのように
「え?」
顔を上げたあたしの目に、飛び込んだのはキャラメル色の光。
きれい――
と反射的に思ったそれは、カウンター越しに立つ男の髪だった。
そして、目が合った。
ポケットに手をつっこんで興味深そうにあたしを見下ろす若い男。
この店の制服を着ているから、おそらく店員だろうけど。
いきなり話しかけられて返事もできずにいると
男は長身をかがめ、顔をのぞきこんできた。
「あんた、ヤリマン呼ばわりされてたけど?」
「はっ!? 何!? ヤリ……」
「俺がドリンク運んだときな、あの女がそう言ってた」
あいつ……。
あたしがトイレ行ってる間にそんなことまで言ってたのか。
いくら恋のライバルを蹴落とすためとはいえ、でっち上げもいいとこだ。
「違います、あたし、ヤリマンなんかじゃないです。あの子が勝手に言ってるだけで、まったくのデタラメで――」
「そんなムキにならなくてもわかるっつーの」
あたしが口ごもると、男はもう一度
「で、文句言わなくていーのか?」
と言った。