LOVE and DAYS…瞬きのように

健吾はそんなあたしに少しだけ目を丸くして

それから優しく笑った。


「怖がるなって。別に変な意味で言ったんじゃなくて、風呂にでも入れば落ち着くと思っただけだから」

「……う、うん」
 

わかってるよ……。

勝手に変な意味にとらえたのは、あたしだもん。

恥ずかしくて顔を上げられない。


「まだ入らないなら、俺が先にシャワー使うけどいいか?」
 

あたしはうなずいた。
先に健吾が行ってくれる方が、なんとなく気が楽だ。
 

健吾は学ランを脱いでソファに投げると、お風呂場に入っていった。

すぐにシャワーの音が響いてきた。


「……はぁ~」
 

はてしなく長いため息を吐いて、ソファに腰をおろす。

みっともないくらいドキドキしている、あたしの心臓。
 

ちらっと横目で健吾の学ランを見て、またため息をついた。
 

健吾……やけに落ち着いていたけど、こんな場所は初めてじゃないのかな。

なんだかあたしひとりで取り乱して、バカみたい。



< 306 / 580 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop