LOVE and DAYS…瞬きのように
ホテルを出たあたしたちは、看護学生“サヨ”さんの住む町に向かった。
土曜日だからか家族づれの車が多く、道路は混んでいた。
2時間ほどかけてたどり着いた、川沿いの道に建つマンション。
不安と緊張でドキドキしながらチャイムを押した。
「はーい!」
インターホンから聞こえてきたのは、思いのほか軽快な声。
「はじめましてっ……アキの友人の、矢沢莉子です」
「あ~はいはい! ちょっと待ってね!」
通話が切れて、ドアの向こうから足音が響く。
そして次の瞬間、あたしと健吾は面食らった。
開いたドアの足元から、白いモコモコした物体が現れ、あたしたちの足にまとわりついてきたから。
「こらっ、ケン! 飛び出しちゃダメでしょ!」
声と共に2本の腕が伸びて、その物体を抱きあげる。
毛糸玉みたいに見えたそれは、可愛らしい小型犬だった。