LOVE and DAYS…瞬きのように

8畳ほどの、よく片付いたリビング。

初めて来る家の匂いがする。


「……面識もないのに、急にこんなことになってすみません」
 

あたしが頭を下げると、サヨさんは豪快に笑った。


「いいの、いいの。てゆうか逆に助かるんだよ。
あたし、昼間は学校で夜はバイトだから、ほとんど家にいなくてさ。
ケンに寂しい思いをさせちゃってたからね~」
 

初対面とは思えないサヨさんのペースに乗せられ、あたしの緊張も和らいでいく。


「莉子ちゃん。あたしの服貸してあげるから、着替えておいでよ」

「あ、いえ、着替えは用意したんで」
 

ここに来る途中で買った、何着かの服が入った袋を見せて答える。

用意いいじゃん、と笑うサヨさん。


「廊下に出て、左にあるのが寝室だから。そこで着替えればいいよ」

「はい」
 

あたしは着替えを持ってリビングを出た。


< 324 / 580 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop