LOVE and DAYS…瞬きのように
15歳の現実
夜に健吾から電話があった。
無事に先輩の家に置いてもらえたこと
しかも運よく、先輩の紹介で工事現場のバイトが決まったことを、嬉しそうに語る健吾。
幸先のいいスタートに、あたしもホッとした。
「明日、バイトが終わったら会いに行くからな」
「うん!」
すると健吾の後ろから、男の人の冷やかす声が聞こえた。
「誰かいるの?」
と尋ねると、健吾は少しだけ声をひそめて答えた。
「例の先輩。家の電話使わせてもらってるんだ」
「そっか。じゃあそろそろ切らなきゃね」
「ああ……おやすみ」
先輩に聞かれないよう、ボリュームを下げた健吾の声は、とびっきり甘かった。