LOVE and DAYS…瞬きのように


「……なんか喉かわいたな」


眠っているのか起きているのかわからない、あやふやな意識の中。

あたしはかすかに健吾の声を聞いた。


そばで人が立ち上がる気配があり、すぐに玄関のドアが閉まる音がした。
 


健吾
飲み物買いに行ったのかな……。
 

あたしはまだ目を閉じたまま、寝息をたてている。

けれど意識はもうほとんど覚醒し、外の雨がやけに大きく聞こえた。
 

部屋の中には、パラパラと雑誌をめくる音がしていた。

たぶんアキだ。


こんな状態でふたりきりになるなんて、ちょっと気まずい。

だけど起きるタイミングがつかめず、あたしは眠ったふりを続けた。
 


そのとき、雑誌をテーブルに置く音が聞こえた。
 


不自然な静寂が訪れる。


部屋の中がなぜか、緊迫するのを感じ

あたしは目を開けようとした。
 


だけど、できなかった。
 


……アキの手が

あたしの髪を
そっと撫でたから。



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