LOVE and DAYS…瞬きのように
ゆっくり
ゆっくり……
髪の流れにそって動く手のひら。
触れるか触れないかくらいの
躊躇をふくんだ力加減で。
あたしは息を殺し、起きているのがバレないようにするだけで精いっぱいだった。
カチャ、と玄関から音が聞こえた。
その瞬間、アキの手がさっと離れた。
「最悪だ。雨、強くなってやがる」
健吾の声が、部屋の空気を瞬時にもとに戻す。
「傘ささなかったのかよ」
アキの声も普段通りだった。
「すぐそこなのに面倒くせぇだろ」
健吾は部屋に入ってくると、あたしのそばにドカッと腰をおろす。
そして、
「こいつ、まだ寝てんのか」
と小さく笑い、あたしに布団をかけてくれた。