LOVE and DAYS…瞬きのように

働いているところを見られるのって、なんとなく照れくさい。


レジのカウンターをはさんでモジモジしていると

いきなり、あたしのお腹が
グ~っと大音量で鳴った。


「すげ~音! お前、腹ん中で何か飼ってるだろ」
 

健吾は遠慮なくゲラゲラと笑いながら、店内を歩きだす。


「飼ってません!」
 

人が真剣に悩んでいるときに何なのよ、もう。

お腹が空いているのだって、昨夜から悩んで何も食べていないせいなのに。


あたしがひとりで拗ねていると、健吾は笑いをこらえるような表情で、商品をレジに持ってきた。


「……567円です」
 

ぶすっと数字を読みあげるあたし。

おにぎり2つとクッキーと飲み物を袋に入れ、健吾からお金を受け取る。
 

すると健吾は袋の中からクッキーを取り出して、あたしの前に置いた。


「え?」

「食えよ。どうせまた何か悩んで、メシ抜いたんだろ?」




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