LOVE and DAYS…瞬きのように
「あたしね、なんでかわからないけど、家に電話しちゃったんだ。
でも、やっぱり誰も出なくて……っ」
「そうか」
また泣きそうになるあたしの髪を、健吾がくしゃっと撫でた。
あたしは鼻をすすり、涙をこらえた。
「別に、離婚した両親を恨んでるわけじゃないの。大人の事情があったんだと思うし」
「うん」
「だからあたし、なるべくお母さんの負担にならないように過ごしてきたんだよ……。
ちゃんとお手伝いして、留守番もして。
何か買ってほしい物があっても、絶対にねだったりしなかった」
「……よく頑張ったな」
そんなたった一言が、あたしの胸を熱くさせる。
がむしゃらに築いてきた“強いあたし”を、溶かしてしまう。
「でも、あたし……こんな自分が大嫌いだった。
正直な気持ちを言えなくて、いつもビクビクしていて……」
健吾はあたしの体をそっと離すと、顔を近づけて微笑んだ。