LOVE and DAYS…瞬きのように
次の日、あたしは朝から快速電車に乗りこんだ。
規則的な揺れに身を任せていると、窓から見える景色がだんだん、なじみのある風景に変わって行った。
駅に降りて、胸いっぱいに空気を吸いこむ。
数日ぶりに訪れた、この町。
あたしは帽子を深くかぶり、駅を出た。
向かった先は健吾のマンション。
健吾には内緒で、ひとりでやって来た。
……きっと、あたしが「帰ろう」と言っても、健吾はすぐには納得しない。
説得するためには、マンションから“ある物”を持ち出すしかないと思ったんだ。
エントランスにたどり着いたあたしは、管理人さんの姿を探した。
健吾の妹だと言って鍵を開けてもらうつもりだった。
「君、もしかして……」
ふいに声をかけられ、背筋がビクッと伸びる。
振り向くとそこには、以前一度だけ見たことのある
健吾のお父さんが立っていた。