LOVE and DAYS…瞬きのように
捨てられないもの
数日間、閉ざされていた部屋。
健吾のお父さんが合鍵で開けると、中の空気は不気味なほどひんやりしていた。
「ここに来れば、何か手掛かりがあるんじゃないかと思ったんだが……まさか君がいるとは驚いたな」
健吾のお父さんが淡々と言った。
驚いたのはあたしも同じ。
今、もっとも顔を合わせづらい人のひとりに、こんな場所で会うなんて。
だけど不思議と怖くはなかった。
あたしの中の何かが、吹っ切れたからかもしれない。
そっと和室に入るあたし。
そして目的の物を見つけ、用意してきた袋に入れた。
和室のすみには思い出の、七夕の笹もあった。
『どうかいつまでも、健吾と一緒にいられますように』
あのときひそかに抱いた願い事は、今も変わらない。
だからこそ、これ以上逃げちゃいけないんだ。