LOVE and DAYS…瞬きのように
「やめろって……」
肩で息をする健吾。
あたしはスパイクを持った手をおろして、微笑んだ。
「ほら。やっぱり大事なんだよ」
「……うるせぇ」
そう言ってあたしをにらむけれど、健吾の表情はどこか晴々としていた。
いくら捨てようと思っても、捨てられないもの。
大切な思い出があるから、今のあたしたちがいるんだ……。
「あー、ちくしょー。
足が冷てぇ」
健吾はその場にドカッと座りこみ、伸びをするをように両腕を上げて寝転んだ。
あたしも隣に寝ると、細長い雲がオレンジ色の空に広がっていた。
「まさかお前に説教されるなんてな」
健吾が隣で笑う。