LOVE and DAYS…瞬きのように
泡雪の行方
恋じゃない。
同情なんかでも、もちろんない。
だけどアキの唇が降りてきたとき
あたしは吸い込まれるように瞳を閉じて、それを受け入れていた。
ためらいがちに、そえられた手。
重なった唇が震えている。
ゆっくり目を開けると、アキのまぶたも開いた。
茶色い瞳にあたしの泣き顔が映っていた。
「莉子……」
こんなに優しいアキの声も、表情も、今まで知らなかった。
だけどきっと、あたしが見逃してきただけで
アキはいつもこんな風に、見つめてくれていたんだ……。
すぐそばでアキの鼓動が響いている。
すごく速いけれど、それはたぶんあたしも同じで。
トクトクと打ち続ける生命の音に、あたしは耳をすましていた。
そして。
その音をかき消すかのように
後ろでドアが開いた。