LOVE and DAYS…瞬きのように

お寺が近づくと、セミの鳴き声が大きくなった。


あたしはお供えの花を持って、墓地に入った。
 

お墓の前には、見覚えのある人がいた。

サヨさんだ。



「莉子ちゃん!」
 

サヨさんはあたしを見つけると、驚いた顔をして立ちあがった。


「どうしたの? 久しぶりだね」


「近くに来たから寄っちゃいました」
 

あたしはそう言って、お花をそっと添えた。
 


……サヨさんのお兄さんが眠る、そのお墓に。




「莉子ちゃん、いつも兄貴のお墓参り、ありがとうね」


「いえ。あたし、サヨさんのお兄さんに会ったことはないけど、すごく感謝してるんです」


「感謝?」


「はい。だって……」


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