LOVE and DAYS…瞬きのように


あたしは気づいた。


見覚えのない短冊が、ついていることに。



「これ……」
 


鼓動が、はちきれそうなほど速くなる。
 

何? これ……。

こんな短冊
2年前はなかったのに……。
 



震えるあたしの後ろで、健吾のお父さんが静かに話し始めた。




「健吾は今、東京の大学で元気にやっているよ。

一度は将来を投げ出そうとしたけど、やっぱりあきらめない道を選んだんだ。

やめていた陸上も今年からまた始めて、がんばってる」




その声に耳を傾けながら


あたしは涙でかすんだ瞳で

短冊の文字を読む。
 


いつ書かれたものなのか、わからない。
 

もしかしたら、ただの冗談かもしれない。
 

だけどそこには

たしかに健吾の文字で――






【もう一度、莉子を

幸せにできますように】

 




健吾――…。
 

あたしはその短冊を胸に当て、声を出して泣いた。





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