裏表恋愛心理
ただ私から金を巻き上げて、嘘の愛を並べて弄んでそれだけの為に私に近づいてきた男だったんだ。
悔しさで涙が溢れてくる私を、遥人がゆっくりと抱きしめた。
「柚月から久々に連絡入って、あのクズにギャフンと言わせてやりたいから手伝ってって言われたあの時、俺ジンジャーエール吹きかけたの分かってた?」
「知らないよ、そんなの……」
「馬鹿だなあ……本当に昔から変わらない。こんなことして傷つくのは、お前だけなんだって」
「じゃあ、なんで止めてくれなかったのよ」
もうどうにかしたくて、この感情をどう解消していけばいいのか分からなくてこんな馬鹿げたことを相談したっていうのに。
遥人なら最後まで面倒見てくれるの知ってたから、甘えた私が馬鹿だったんだろうか。
「柚月とのあの話をする前にあのクズからダブルデートの話が持ち上がってたんだよ。この機会を逃してたまるものかって思ったらこうなってたと言うか……」
「何よ、人の不幸見て楽しむタイプに染まっちゃったの?」
「違う。そうじゃない。ーー柚月みたいな可愛い子を俺の彼女にできる、またとない機会だったから」
私の思っていた考えとは真逆の方向の回答に、涙が一瞬止まった気がした。
「どういう、こと?」
「鈍い奴……それともわざと?」
抱きついてくる力を込める遥人の体がどんどんと熱くなっていくのが分かった。