裏表恋愛心理
それが分かるのは、遥人が私の傍にいるという紛れもない事実がそこにあるから。
「俺、柚月のことが好きなんだ。あんなクズなんかより、俺の方が100倍もいいと思うんだけど?」
「遥人……?」
「あんなクズのこと忘れるくらい、柚月のこと愛してやるから他の男の事でもう泣いてほしくない」
ゆっくりと抱きしめるのを解いて、私の顔を覗く遥人の目は真っ直ぐで温もりが灯っていた。
「俺じゃダメかな」
「遥人には、私はどう映ってる?」
あの人には私という存在は何一つ映っていなかったから、その目にはちゃんと私が映っていますように。
その思いで紡いだ言葉に遥人は優しく笑った。
「俺の大事な人、かけがえのない人」
「本当に……?」
「うん、本当に。だから本当に俺の彼女になってくれませんか?」
その温もりに触れた途端、自然と私は遥人の首に腕を回した。
「喜んで、遥人」
「もう他の男なんかに渡さないから」
耳元でそう囁かれて擽ったさを感じていると遥人から引き剥がされた途端、唇に優しさが触れた。