裏表恋愛心理
ここで私が断ったら後々何かしら面倒なことになるのが目に見えるし、私は決意を固めた。
「仕方ないなあ。その代わり今度、焼肉でも奢ってよね」
「柚月ぃ!!お前は本当に俺の救世主だな!!」
「はいはい、まったく大袈裟なんだから。それで明日は何時にどこ集合なの?」
明日の予定を粗方聞いて、お互い明日に備えるべく短時間の電話で済ませた。
電話を切って表示されたチャット画面の一番上には遥人の名前が上がる。
「……あーあ。どうしよう」
自分から引き受けた任務から逃げる質ではないけれど、明日のことを考えたら正直不安だ。
どこかでバレたらどうしたらいいんだろうとか、遥人との距離感はどこまでなのだろうとかしょうもないことばかり。
とりあえず明日着ていく服を夜な夜な考え、普段以上に肌へのケアを徹底的に行うと夜がどんどんと更けていく。
目の下にくまを作るわけにもいかないから、今日できる全ての支度を済ませた私はそそくさとベッドに横になる。
しんと静まる夜の空気に包まれていく私の体に鳴り止まない心臓の鼓動が響いていた。