裏表恋愛心理
どうしようもない空気が私達を包み込んだと思っていると、響さん達が私達の元へとやって来た。
「ラブラブの所悪いんだけど、最後にクジでペア決めてあれ入ろう?」
そう示したのは、どこからか聞こえてくる悲鳴の元凶であるお化け屋敷だった。
ノリノリの遥人とは真逆の私は用意された爪楊枝で作られたクジを引く。
「えっと、遥人は薫子と。僕は柚月さんと、だね」
「……」
決まったことには文句を言うタイプではない、けどここでもしボロが出たらどうしよう。
まあいいや、ここは素直にお化け屋敷に入って無駄に悲鳴を上げて出てくればいい。
そう思って先行になった私と響さんは、薄暗いお化け屋敷の中へと足を踏み入れた。
「柚月さんは、こういうの苦手だったりする?」
「はは。響さんこそ、こういうの苦手ですよね?」
「え、なんでバレた?」
「……ただ何となくです」
そんなことを言った私だけど驚かせにくるお化け役の人達の演技は迫真で、お化け屋敷のセットもリアルすぎて正直少しだけ怖かった。
ただそれよりも、私にくっついてくる響さんの方が私は怖かった。