翡翠の森

気を遣ってくれたのか、エミリアの方から先を話してくれる。


「とてもショックでした。やはり、わたくしをお望みにはならないのだと」


出会った当日なのだ。
アルフレッドも思いやったのだと思う。


「でも、どこかほっとしたのです。……いけませんわね」

「そんなことありません」


アルフレッドが、彼女を望まなかったのではない。
きっと、彼は将来、本当に結ばれることに希望をもたせたのだ。


「わたくしのことより。ジェイダ様こそ、ロイ様と何かあったのではないのですか? 」

「え……!! 」


突如矛先が向いて、せっかく引いた熱がぶり返しそうになる。
ジェイダの反応に確信したのか、エミリアが黄色い声を上げた。


「やっぱり、そうなんですのね? 」

「な……どうして」

「ジェイダ、分かりやすいもの。……多少、聞こえてたし」


ジンまで加わり、ジェイダは後ずさった。


「聞いてたの!? 」

「聞こえたのよ。ちょっとだけね」

「まあ、ジン! 詳しく教えて下さいな。一体どんな愛の語らいを……」


興奮気味のエミリアにジンが苦笑した時、ドアが来客を告げた。


「ロイ……」


彼を見た途端、必要もないのに目が潤みそうになる。
ジェイダの条件反射にニヤリと笑うと、ロイが口を開いた。


「ちょうど揃ってるね」


その口振りに、嫌な予感がした。
いや、その言い方は間違っているか。
動きがないことには、進めないのだから。


「クルルから、祝辞が届いた」




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