翡翠の森
「私に会ったから……ですか? 」
「だって、お久しぶりですし。それに、こうしてゆっくりお話しするのは初めてだから」
小さなロイとクルルの青年・ロドニーを会わせてくれたことからも分かる。彼は、思いやりのある人だ。
「あ……ごめんなさい。勝手に……」
驚愕の表情を浮かべられ、慌てて謝る。
ジェイダは知人のつもりになっていたが、デレクにとっては唐突な話だ。
「あ、いや」
しどろもどろになる彼を見て、確信する。
(やっぱり、優しい人)
「でも、ありがとうございます。……もう、行きますね」
これ以上は、困らせてしまうかも。
ジェイダはペコリと頭を下げ、笑顔で前に進む。
(ロイのお父さん。素敵な人だな)
もっと、いろんな人と交流できたら。
今すぐは叶わなくとも、そうできる未来を見て歩くのだ。
前を向いて。
二人で。
(……ううん)
――みんなで。