翡翠の森
ロイやデレク、他のお供は大丈夫だろうか。
「なら、貴女も少し休みなさい。さっきは疲れたでしょうし……この先のこともあるのだから」
そう言われても、すぐに寝転がる気分にはなれない。
どう見ても、今疲れているのは彼女の方なのだ。
「早く」
けれど、親友というよりお母さん口調になる時は、ジンはけして譲ってくれない。
「あのね。私が狙われることなんか、まずないのよ。危険なのは貴女の方。それにジェイダが休んでくれなきゃ、私はいつまでたっても落ち着けないわ」
不承不承ベッドに上がる。
その間も、ジンをジトッと見るのはやめなかった。
「変な顔をやめて、さっさと寝なさい。まったく」
彼女の説明は納得のいくものではないのに、寝そべってしまえば一気に瞼が落ちてくる。
(変ね。まだ、こんな時間なのに)
いつの間にか、あの凍えそうな空気に慣れていたのだ。
(ロイ……)
あの城でもハナの宿でも、少し離れているくらい平気だったのに。
ここにきて心細くなるのは、どうして?
妙な胸騒ぎを誤魔化すように、ジェイダは目を閉じた。