翡翠の森
祈り子の任務は、過酷なものだ。
町の、国の期待を一身に背負い、祈り続ける。

ある乙女は、荒れた地に跪き、強い日差しを浴び続けた。
またある乙女は、声が枯れるまで歌にのせて祈った。

時代錯誤も甚だしい。
大きな声では言えないけれど、そんなことをして何になると言うのだろう。
上手くいってもいかなくても、後に乙女は倒れてしまう。
その力を、神に捧げたからなどではない。
心身ともに、困ぱいしてしまうからだ。


「…もっと、いい解決法があるはずなのに」


みんな、きっと分かっている。
見て見ぬふりを、しているだけ。
けれど、自分の娘や恋人…大切な人が選ばれるのを、恐れている。
だから、ジェイダは選ばれた。
身寄りがいないからだ。


「……たとえば、どんな?」


冷やかに問われ、答えることができなかった。


「厳しいことだが、これは決定事項だ。ジェイダ」

話は終わりだとばかりに玄関へと向かう町長を、追いかける気力もなかった。
どうせ、町長もその上から命令されたに過ぎないのだ。
彼に喚いても、事実は引っくり返らないのだろう。だとしても――。
ジェイダは俯いたまま、外へ飛び出した。





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