翡翠の森
縁
・・・
「……そ、んな……」
レジーから告げられた、ロドニーの死。
あまりに悲惨な最期に、この暗い地下牢のような場所ですら明るかったと思うほど、視界が真っ暗になる。
「お前はあの安全な場所で、暢気に待ってたんだろ」
「……」
吐き気が込み上げてきたが、ロイは何とか耐えた。
惨いかたちで、両親を失ったレジー。
その後の彼の生活は、想像を絶するほど大変なものだったに違いない。
言われたように安全な場所で、ぬくぬくと暮らしていた自分が一体何を嘆き、悲しむことができるだろうか。
「生まれがそうだったからな。幼子というには大きかったが、働き手には数えてもらえない。引き取り手もなかったから、強くあらねばと思った。……ま、結果良かったよ」
あの時十を越えていたレジーの目には、あの場面が目に焼き付いて離れないのだ。それから、自分への憎しみも。
「そんな生活を、どれくらい続けたか。いつか、お前の噂を聞いた。あちらの国の第二王子がロイと名乗り、何ともお気楽なことを言っていると」
この日の為に、城勤めを目指したのか。
暢気な王子様がいつかここに来て、夢物語をするのを見届ける為に。