翡翠の森
・・・
夢の狭間で、男の子が二人、ぽつんと立っている。
いや、“二人で”というのは、少し違うか。
彼らの間には、これほど距離があるのだから。
けれども共通しているのは、二人とも必死で泣くのを我慢していることだ。
『どうしたの? 』
ああ、あれはロイとレジーだ。
また、二人が子供の頃の夢を見ているのか。
そうなら、二人とも泣いてくれたらいいのに。
だって、ここでは二人とも子供なんだから。
『……っ、なに!? 』
突然、熱風に煽られ、ジェイダは混乱した。
『ジェイダ!! 』
(熱い…!! )
なんて夢を見ているのだろう?
他は真っ暗闇なのに、すぐそこで恐ろしい炎が揺れている。
『え……? 』
ぼんやりそんなことを考えていると、きゅっと抱きしめられた。
目を開ければ、小さなロイが一生懸命守ろうとしてくれている。
面識のないはずのレジーまで、側に駆けてきてくれた。
不思議な夢だ。
夢だと分かっているのに、こんなにも痛く、熱く、悲しい。
二人の想いが、ジェイダの中にも流れ込んできたかのようだった。
(二人とも、苦しんでる)
ジェイダまで泣きじゃくりたいくらい、彼らの苦しみが伝わってくる。
だが、それは許されない気がして、ジェイダはぐっと歯を食いしばった。