翡翠の森
・・・
《ジェイダ、お願いだ。返事をして……! 》
(マ……ロ……? )
子リスの声だ。
いつも余裕綽々な彼が、いつになく切羽詰まっている。
《ジェイダ……! 大丈夫!? 何かあったの? 》
(ううん。平気)
《……には、聞こえないけど……。ごめん、キミの助けが必要なんだ》
申し訳なさそうに、でも有無を言わせぬようでもあるマロに、何か良くないことが起きたのだと分かる。
《ちょっと、想定外のことが起きてね。面倒なことに、ロイが……》
「ジェイダ、起きて! 」
横たわったままの体を揺り動かされ、ジェイダは何とか目を開くことに成功した。
「ジ、ン? 」
だが、思考はまだはっきりしない。
それを見て余計に焦ったのか、ジンが両肩をがっしりと掴んできた。
「よく聞いて。……ロイ様がいなくなった」
「いなく、なった? 」
ジンの言葉を繰り返すと、デレクが悔しげに顔を歪めた。
「……はい。私の失態です」
《まあ、ロイにとっても、必要なことだったともとれるけどね。問題は、閉じ込められてるってことなんだ》
デレクを慰めるように、マロが言った。
(閉じ込められてる!? って、どこに? )
怠かった身体が一気に覚醒し、胸が痛いほど鳴り始める。
《分からない。どこか、地下牢みたいなとこだと思うんだけど》
探さなくては。
でも、一体どうやって?