翡翠の森
「お父さんは!! 」
声を張り上げると、レジーが不愉快そうに睨んでくる。
「二人に希望を見てた。何度も諦めかけて、でも、ロイやレジーさんがいたから。友達になれて、兄弟になれたから……頑張れたんじゃないかな……? 」
もう二度と会うことはないと思っていた、ロイに再会できたこと。
異国の少年たちが、不安をよそに実の兄弟のように仲良くなったこと。
「なのに、その二人が壊してしまうの? やっと、ここまで来れたのに」
それはきっと、ロドニーに大きな希望を与えたのだ。
ロイの首から離れ、ジェイダは思わず立ち上がった。
真正面から見れば、どこか懐かしい。
夢で見たあの男の子が、自分より年上になって目の前にいる。
「お前に何が分かる」
死に物狂いだったに違いない。
知り合いらしい、知り合いもおらず。
憎める相手は、ロイだけだったのだ。
「……そうですね。でも、あなただって、ロイの十年間を知らない」
側で見てきたのではない。
一緒に過ごした時間を振り返れば、短いのだ。
「責められても、馬鹿にされても。ロイは諦めたりしなかった。あなたやロドニーさんに、今度は堂々と会う為に」
それでもその想いは、この短期間にたくさん伝わっている。