翡翠の森
「気を失っているだけだよ。……心配かけて、ごめん」
「まっっったくですぞ!! ……いや、お一人にした私が悪いのですが……しかし、若君に何かあればと、じいは生きた心地がしませんでした! 」
キーン。
その大声も、何だか懐かしい。
ジェイダをベッドに寝せ、興奮しているデレクを押し止めた。
「悪かった。ともかく、僕は無事だから。このことは内密に。それより話したいことがある」
「内密にですと!? 若君が拐われたのに、何をどう内密にしろと」
ジェイダの時もそうだったが、デレクはロイ以外目に入らない時が多々ありすぎる。
それに苦笑すると、ジンがゆっくりとレジーに目を移し、デレクの意識を向けさせた。
「まずはお話を。説明を求めなければ、彼も不憫です」
「な……、貴方はまさか……」
視界に入れば、すぐに思い当たったらしい。
「……お久しぶりです」
レジーも同じだ。
一番幼かったとはいえ、気づけなかった自分が情けない。
「座って。これまでのことを話すけど、これだけは言っておく」
目覚めないジェイダが心配だったが、何とか皆に視線をやった。
「敵なんていない。この先何があろうと、それだけは覚えていてくれ」