翡翠の森




「……そう、でしたか」


ロドニーの死に、デレクも目を伏せた。


「とにかく。僕は旧知の仲だったレジーに会いに行ったところ、ジェイダが心配して探し回ったことになってるから。……身の上を明かしていなかったのは僕だ」


言っていたら、何かが変わっていただろうか。
ロドニーや彼の妻が、あのような目に遭わずとも済んだのか。


「土手っ腹殴っといて何だが。……もう、言っても仕方のないことだ」


レジーの怒りは、どこへ行ったのだろう。
嬉しいような、悲しいような。
気になったが、まずはこれを伝えねばならない。


「……北が動いているとの情報がある。協力を得て、アルが僕諸ともクルルを攻め入ると」

「何ですと!? そんな馬鹿な話が……」


だが、キャシディの様子を見るに、嘘を言っているとも思えなかった。
真意は不明だが、むしろ先に耳に入れてくれた感じすらする。


「明日は必ず突かれるね。それにしても、何でそんなことになったのか」


知らないことはどうしようもないが、それで通るとも思えない。
でっち上げだと騒ぐのも、これからのことを思えば得策ではない。

さて、どうしたものか。

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