翡翠の森
「使いを出すのも不自然ですね」
どうなっているのか確めたいが、この時期に人を送るのも躊躇われる。ロイ自ら外に出るなど、論外だ。
(うーん……。何か、そもそも忘れてるような)
《誰が、ジェイダを呼んだと思ってるのさ》
頭の中に、呆れたような高い声が響く。
(……あ、そうだった)
森の大精霊がいたではないか。
都合のいいことに、アルフレッドにはマロのことがバレている。
本人が信じていようがいまいが、この際関係ない。
(頼んだ)
《大精霊をこき使いすぎだよ。……ったくもう
、人間は……》
自分から言い出したくせに、ぶつくさいつもの文句を述べて開始したアルフレッドとの通信は、どうやら難航しているようである。
《あぁ~っ、もう! 適応能力に欠けるなあ、王様のくせに。いい加減、慣れてもらわないと困るよ! 》
ポケットの中で、マロのくるんとした瞳が何とかしろと訴えていた。
(……アル)
《……ロイか。本当にあのリスは……いや、いい。それより、そちらの様子は》
ともかく話をする気になったらしい。
(ちょっとまずい。僕らが北と共謀して、クルルを落とそうとしているなんて噂が……)
《……まるっきり、ただの噂でもない》
(……何だって? )
耳を疑っていると、アルフレッドが苦々しく続けた。
《……エミリアだ。どうもあいつの家は、北と繋がりを持ったらしい》