翡翠の森
落涙




・・・



レジーから語られたのは、もちろんジェイダ本人にはもう残されていない遠い記憶。


『ロイくんとは、すっかり仲良しみたいね』

『うん。お兄さんぶってるよ』

『ずるい、私も会ってみたいわ。ね、ジェイダ? 』


不公平だと唇を尖らせ、ジェマは愛娘に同意を求めた。


『ふへ……?? 』


ふいに呼ばれ、ジェイダは首を傾げた。
お菓子を食べるのに夢中になっていて、夫婦の会話は全く耳に入っていなかったらしい。


『ジェイダには、まだ早いよ』

『何が? 男の子と友達になるのに、早いことなんてないわよ』


ジェイダの頭を撫でながら、もうそんな心配をしている夫に笑う。
ジェマが何度撫でつけても、娘の髪はくるんとうねってしまう。


『ジェイダよりもお兄さんね。ひょっとすると、ひょっとするかも』


それも何だか愛しくて、頬をベタベタにしながら奮闘しているジェイダの額をそっと突っついた。




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