翡翠の森
・・・
「ん……」
目が開いてもなお、頭が働かない。
(ここは……)
どこだろう。
何をしていたのだったか。
身動ぎすると、しっかりと繋いだ手に引き留められる。
「あ……」
ロイ。
自分こそ大変だっただろうに、ベッドの脇で突っ伏していた。
あれから、どうなったのか。
徐々に記憶が蘇るにつれ、とても悲しくなる。
(……苦しいだろうな)
ロイの心情を思えば、ジェイダまできゅっと心臓を掴まれるようだ。
レジーとは和解できただろうか。
意識を失う寸前、レジーのロイへの態度は和らいでいたような気がする。
だが、辛いことにやはりロドニーは……。
「……ん、ジェイ……」
そこまで考えた時、彼の唇が動きヒヤリとする。
(寝言か)
それが自分の名前だったことに、くすぐったくなると同時に切なくもある。
「おやすみ、ロイ」
(どうか、悲しい夢は見ないで)
前に、彼が施してくれたような暗示。
恥ずかしいけれど、自分の夢だったらいいなと思う。
彼にだって、悲しみや辛さを忘れる時間は必要だから。夢であるなら、尚更だ。