翡翠の森
自分が眠っている間に、彼もそうしてくれたように思えて。
ジェイダは恐る恐る、彼の瞼に唇を落とす。
そしてパッと離れ、寝ているのをいいことにまじまじと見つめた。
羨ましいほど、長くて綺麗な睫毛だ。
「……それだけ? 」
いきなりもう片方の手が伸びてきて、すぐそこでアイスブルーの瞳がパチッと開く。
「うきゃあ!! 」
驚きすぎて変な声が出たが、それどころではない。
咄嗟に仰け反ろうとしたが、ロイに阻まれてしまった。
「そんなんじゃ、王子様は眠り続けたままだよ」
「~~しっかり起きてるじゃない! 」
一体いつ、目が覚めたのか。
ゆっくり休んでほしくて、念じたつもりだったのだが。
「全然。まだ寝惚けてるよ。何か、うとうとしてるし」
そんなふうには見えないし、聞こえない。第一。
「だったら、寝てたらいいと思う! 」
バタバタともがいてみるが、ちっとも効かない。
それどころか、いつの間にやらロイがベッドに上がりこんでいた。