翡翠の森
・・・
だが、それは叶わなかった。
「……むす、め……? 」
レジーは今、何と言ったのか。
同じ言葉を繰り返したはずなのに、頭はまるで理解してはいなかった。
「……お前がやらせたのか。まだ何も分からない、妹まで……!! 」
娘。
妹。
一切の思考能力は停止しているのに、体はカタカタと震えだす。
「ジェイダ……」
何かが頭を過った気がする。
ロイに支えてもらわねば、ぺたんと座りこんでしまいそうだ。
「なら……なら、二人を殺したのも……っ」
「そんな……どうして……? 」
ぐちゃぐちゃで何も考えられないくせに、恐ろしいことは瞬時に思いついてしまう。
二度と、役目を放棄して逃げる者を出さない為に?
それとも、ただの見せしめだった?
「……っ、レジー!! 」
もはや自白も同然の顔色を見て、レジーは国王目掛けて走りだした。
「……やめるんだ」
だが、ロイの方が近い。
「……くっ、離せ……!! 」
暴れるレジーを、ロイは力の限り押し戻した。