翡翠の森
「ジェイダ……!! 」
友人や、お世話になった母代わりの人たち。
「みんな……」
気がつけば、皆数歩離れたところでジェイダたちを囲んでいた。
「久しぶり……です」
喉が渇いて、声にならない。
皆、何をどこまで知っているのか。
急に現れた自分を……ロイを見て、何を思うのか。
「大丈夫、なのね……? 」
彼女たちも同じなのだろう。
尋ねられたのは、何とも曖昧なことだった。
母親のように慈しんでくれた人。
たとえ仕事なのだとしても、思い出せば温かかった。
自分の身の上は知っていたのだろうか?
いずれ祈り子に仕立てられると、知っていて――。
「はい。大丈夫」
ジェイダは目を開けると、にっこりと笑った。
(そんなこと、訊かなくていい)
今更問い質しても、何にもならない。
ロイの言うように、新たな憎しみを生みに来たのではないのだ。
「あの」
ロイの手を握ると、彼からも緊張が伝わってくる。
「私の……っ……す……好きな人」
「……スッと言ってくれないと、余計恥ずかしいんだけど」
そう言われても、“恋人”も“婚約者”も照れてしまって出てこなかった。